2023年01月21日 (執筆:中島真也 編集:窓宮吉)
ウス。中島です。
「どのようにシナリオを作っているのか。」と時々ご質問を受けるので、備忘録も兼ねて雑記に残しておこうと思います。
そんな大層なモンじゃないですが、シナリオの内容に触れるのでご注意下さい。
以降は、複数作品のネタバレを含みます。目を通す際はご注意を。
構想の始まりとしては、漫才かコントの二択です。日常の可笑しな所や突飛な設定が、短い時間に詰め込まれていて、
多角的な視点から視る事が出来ます。それ自体をシナリオのネタにする訳ではなく、引き出しとして持っておくって感じかな。
歳を取ったか、映像作品は30分が限界(朝流れてる「ち○かわ」やら「モ○カー」で丁度良い程)で、
ドラマや映画を観なくなったんですよね。漫才やらは、3分とか長くて10分程なので、それも在るかも知れません。
前置きが長くなりましたが、いざ書くとなると作り方に幾つかパターンが在ります。
最も書き易い。何故なら終わりが決まっているから。
どんな道筋を立てても「最後はここへ持って行かないと。」という意識が有るので、結構きっちり纏まると思います。
間延びする事も殆ど無いかな。逆に思い付きで書き始めるとエンディングに悩む。
具体的な作品としては、「神様万歳」「ECoC-MAKING」「大平安狂時代」等。
「忘れられないシリーズ」関連なら、「夏よ」「未来へ」「SOLDIERS IN MY HEART.」辺りが該当します。
最後のを例に挙げれば、シリーズを通った方は氷室を殺せるのだろうかって所から制作しましたね。
人物像が先に浮かんだ場合は、その人物がどんな人生を歩むのかを考えて肉付けしています。
細部を詰められるし、キャラクターの行動原理を据えたシナリオを書き易い。
月並みな表現だけれど、最後は勝手に動き始めるので自ずと話が出来上がります。
正直、最近はこれが多い。怒りから生み出されてる。短編シナリオの「みんな魔法少女だよ」が良い例。
何故に美少女に変身するのか。オッサンになる可能性だって在るし。(魔法"少女"だからね。しょうがないね。by 窓宮吉)
第一!美人しか変身出来ないのも可笑しい!とか言うてたら顰蹙買いましてな。その怒りが発端と成ったシナリオどす。
他には、「拝啓ラヴクラフト様」。これも昨今のエモロールに対する怒りから、作中で架空のTRPG配信者を殺害しているって言うタチの悪い話ですよ。
公開してないけど、エモロールすればする程、ベストエンドに向かう演劇舞台のシナリオも書いたっけな。嫌味だねえ!
皆も負の気持ちをシナリオにぶつけてみようぜ。デトックスも兼ねてお得!ホントこんな書き方してる奴は最悪だよ。奈落まで落ちた方が良いザマス!
兎にも角にも妄想力が鍵です。シナリオの中身を死ぬ程に妄想して下さい。
想定される探索者を仮置きして、場面毎にロケハンして行く格好です。探索者は、過去に遊んだPCや友人のPCを仮置きします。言語化するのが難しいけど、文章よりも先ずは動きや表情が浮かびます。するとNPCが勝手に話し始めるもんで、ひたすらシーンを撮り直す。自然と絵を覚えて来るから、脳内に映像化して次の場面へ。この行程を繰り返して、全ての場面を一本のフィルムに焼き付ければ脳内映画の完成です。後はそれを試写して文章化するだけです。
自語りで申し訳ないですが、元々は映画監督を目指して作品を作っていた経緯が有りまして、その影響かも知れないです。場面は必ずしも順番ではなくて、クライマックスでも、真相が分かる場面でも、日常の一コマでも…書きたいシーンからで良い思います。要所要所でしっかり書けていれば、道が歪でも案外何とか成ります。ツッコミどころが在ってもやいのやいのと来て楽しいです、多分ね。絵が描ける人は絵コンテみたく並べて考えても良いかも知れない。棒人間だって良い。想像する事が大事。
先程の応用。誰にも理解されないかも知れないけども。悪魔の実の覚醒みたいなもん。簡単に言や脳内お人形遊びですわ。
先ずNPCを妄想して、次にNPCが住む街を妄想して、その街の細部までを妄想して映像化するといった感じかな。飯屋に食事に行くとか日常の風景でも何でも良いんです。そしたらその飯屋がイベントシーンや探索の舞台に成る訳です。
この考えには、「街 〜運命の交差点〜」というサウンドノベルが大いに関係しています。このゲーム、8人の主人公が街中を同時に動いて話が進むんですが、誰かが取った行動が他の主人公の話にも影響するって作りなんですね。どうでも良い人物の行動でさえ影響して来る。ある意味、誰でもこのシナリオの主要人物に成り得ると。街の名前を教えてくれる奴にもそいつの人生が在って今この街に居ると思えば、自ずと物語も頭に浮かんで来る訳ですね。これがこの考えの原点です。
学生や刑事等、職業を指定する程度に留めるようにしています。ある程度自由にキャラ作って遊べるのがTRPGの良さだと思うので。どんな思想を持っているとか、秘匿で行動を決めてしまうとか、指定盛り盛りだと作者の思い描いた人物像しか出て来れないし、作者の観せたい話にただ沿うなら読み物で良えやんと。ゲームである以上は、自由度を持たせたいという訳です。
これも同様。偶然集まった探索者が各々の力量で考え、全力を尽くして進むのが面白いんじゃないのと思っちゃうのよね。特定の技能を持った人物が、複数人現れるなんて都合良過ぎない?って。なので、最低限の技能でクリア出来る内容を心掛けてます。特定の技能が有れば、ショートカット出来るとか、ちょっと面白い場面に出会すとかオマケ程度だね。
(そういや不法投棄以前の話で恐縮だけど、「WINDOM」ってシナリオで推奨技能を加筆して出版された事思い出したわ…。何だかなあ。)
すべき事の明示や事件が起こるのは凡そ30分以内を目標にしています。「Eye in the heart」の開幕から居酒屋爆発とか、「SOLDIERS IN MY HEART.」の目覚めたら牢獄とか…。「その冬の白さに包まれて、」も面接後にトンデモない所に連れて行かれますね。漫才やコントも仕掛けが早目に分かった方が面白いと思った結果かな。最初から街に出て日常のRPをしている裏で実は…という作りだと、どうしても間延びしてしまうし、そこで飽きてしまったら終わりなので。
すべき事は丸ごと説明して、はいどうぞ!ってそこからは好きに動いて貰う。RPで楽しむ尺はPLの裁量で自由にやったら良えやん良えやん。その方が一本道のシナリオでもPLからしたら自由度を感じると思うし、KPもやり易いと思うんです。なもんでムービーが長尺なんす俺。そこは申し訳ない。
光が強けりゃ闇も強まるという考え。暗かったりキツい場面の入るシナリオは、反対におふざけや明るい場面を強調して入れるよう意識してます。
若干反則技なんすけど、NPCに対して独自の行動を必ずぶち当てるようにしてます。
NPCの描写をする目的も有るんですが、クトゥルフの戦闘ってマウント取って終了な所が間々有るのでそれを避けてます。
時代劇の殺陣でも敵にちょっとした魅せ場って在るじゃん?
作品を完成させるっていう体験はデカいです。最後まで書き切って、あぁクソやなコレはってのは間々在ります。けどそれは、後のセッションや執筆を活かしてブラッシュアップ出来る。一度完成させてしまえば、案外着手し易いんでね。
中島真也のシナリオの作り方は大体こんな感じです。現状一本書き上げるのに必要な時間は、早くて3ヶ月、長けりゃ1年は掛かります。ある程度定期的に投下出来ているのは、常に5、6本のシナリオが脳内に流れているからです。死ぬ。これが出来れば貴方も中島真也です!最悪ですね。
質問があればお答えしますんで、気軽に不法投棄のメールフォーム(お名前欄はラジオネーム的なので良いよ。)か、中島個人へよろしくどうぞ。